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  • 執筆者の写真すけきよ

黄金8申し込んじゃった

3/8黄金暗号8、申し込んじゃったよ~。

オンライン申込怖いね。サクカさえ作っちゃえばぽちっと申込できちゃうんだからね。

封筒に入れて切手張ってポストに投函っていう手間がないぶん、勢いで申し込めちゃうね。こわっ!(考えて申し込や)


一応新刊予定の尾杉の冒頭載せときます。

まーたいつもの見切り発車です。どう落とし前つけんのこれ?って段階だけど、どうにかなるんだよ。おそらく。今までもそうだったんだ・・・。

さいちが少年化してるけど、おにしょた(であってんの?)要素はないです。カップリング要素はあるが。キャプション書くとネタバレになってつまらなくなるだろうからあんまり書けないんだすまん。地雷だったら申し訳ない。


「B2B」

幼い頃の自分を重ねて、哀れに思ったのかもしれない。

玄関のドアを開け、目の前に立っていた少年を尾形は見下ろした。同じマンションに住む子供が、部屋を間違えてインターフォンを押してしまったのか。しかしここは単身用のマンション。子供連れの家族が住むには手狭だ。それに、そういったマンションでの子供の姿は、他人に無関心な尾形でもさすがに目を惹く。それなのに、尾形の目の前にいる少年には、まるで見覚えがない。新しく越してきたのだろうか。

尾形は開いたドアのノブを握りしめたまま、少年に視線を落とし考えをめぐらせた。だがいくら考えても、尾形の記憶にこの少年の姿はない。相手が大人なら、あからさまに顔をしかめ、追い返しただろう。尾形は子供相手にどういった対応が正解なのかわからず、無表情で口を開こうとした。せめて少しでも声色を明るめにしようと、唾を飲み込み喉を潤す。

しかし少年は、尾形が目を見開くほどの言葉を口にした。

「尾形、尾形百之助で合ってるよな」

どうしてこの少年は自分の名前を知っているんだ。尾形の部屋には表札もない。背格好からいって、小学校高学年から中学生あたりに見える少年の目は、いたずらでもからかいでもない視線を尾形に突き刺している。

「俺は、尾形佐一。十年後の未来からきた。あんたの子供だ」

尾形は口のたつ方だった。誰かに何か、自分の中で納得できない発言をされると、畳みかけるように相手を論破した。その尾形が、今は閉口することすら忘れ、言い返す言葉も持たず、少年に間抜け面を晒している。

冗談にしてはタチが悪すぎる。それにこの佐一と名乗った少年が、尾形の名前と所在を突き止めていることが、冗談でもなんでもない証拠だ。

「は?」

さっき潤したはずの喉が、からからに乾いていた。それ以上、言葉が続かない。声も出せずに尾形は三和土を一歩あとずさった。

「正確には、十年後のあんたは本当の父親じゃない。俺は養子なんだ」

そう言って佐一は、背負っていたリュックを肩から下ろし、中から一通の手紙を取り出した。それを唖然としたままの尾形に突きつける。

「これ、父さんから。動画でメッセージを伝えようとしたんだけど、今の記録媒体じゃ十年前の機械で再生できないからって。俺、手紙なんて物語の中でしか見たことなかったけど、なんかこういうのも、いいな」

少年、佐一は顔の端から端を渡る大きな傷を歪めて笑った。真一文字に牙の生えたような傷が頬と一緒に笑う。生え揃いはじめた大人の歯が一列にきちんと並んでいるのが見えた。

尾形は押し付けられた手紙を反射的に受け取った。真っ白で味気ない封筒。中には履歴書でも入っているかのような、宛名も何も書かれていない封筒が、十年の時を超えて尾形の手の中にある。「それ、探すの苦労したんだぜ」と、佐一は目を細めて少し得意げな顔を見せる。尾形は、ああ、と生半可な返事をして「それ」を指すものが封筒と便箋のことだと遅れて気づく。

十年後の未来の自分が、この少年を養子として引き取るとは尾形は自分のことながら信じられなかった。なんせ子供が苦手な尾形が、人の親になるとは想像もつかないからだ。目の前に子供が現れても、なんの感情も抱かずに、ただ訝しんで見下ろすばかりだ。気の利いた言葉で相手をしてやろうとすら思えない。

現に今、この佐一と名乗る少年は、初対面にも関わらずタメ口で馴れ馴れしいともとれる態度で接しているのも、尾形は気に食わなかった。尾形からすると、子供は自分が無条件で大人に受け入れられると信じて疑わぬ無遠慮な生き物だと捉えている。

子供をそんなふうに認識している自分が、見ず知らずの子供を引き取るとは、いったい十年後に何があったのか。そして佐一の言っていることが本当ならば、なぜ少年だけを十年前の過去へ寄越したのか。

自分の行動ながら、尾形はまったく理解ができなかった。

「おまえの父親、未来の俺はどうした。一緒じゃないのか」

尾形は干からびた喉からようやく声を絞り出した。

「来られるわけねーじゃん。未来の父さんと、今の父さんが出会っちまったら、時間…なんだっけかな。えーと、その、とにかく、同じ時間軸に同じ人間がいるのはまずいんだよ」

佐一の言っていることを尾形はなんとなく理解した。SFなどで見られる、現在と未来、別の時間軸に存在している同一人物が顔を合わせてしまうと、よからぬことが起きる。そのよからぬことがなんなのか、はっきりとしたことはわからないが、ぼんやりと良くないことだとはわかる。

「とにかく、その手紙を読んでくれよ。俺には父さんが言ってたことは難しくてよくわかんねーからさ。でもまずいんだよ。俺がここにこなきゃ、未来がやばいんだ」

まずいだのやばいだの、抽象的な言葉で納得させようとしている態度に、尾形は少し苛立った。だが確かに、佐一の言っていることが本当かどうかを確かめるには、この手紙を読むほかなかった。手書きなら、筆跡で自分のものかどうかを確認できる。パソコンで作ったものでも、内容によっては佐一のいたずらかどうかくらいの判断材料にはなるだろう。

尾形は未来から来た自分の養子。などという信じ難い言葉が、どうか嘘であってほしいと願いながら封を切った。自分が人の親になるなど、そんな不幸なことが、あってなるものかと、ていねいにちぎった封筒から便箋を取り出した。

何が食べたいかと聞いたら、ピザが食べてみたいと答えた。

佐一は孤児院育ちで、食事といえば学校給食のようなものばかりだったという。ピザを宅配してもらい、自宅で食べる。そんなジャンクな食事ですら、彼にとってはご馳走であり贅沢…どころか、夢だったと言う。

俺は宅配ピザ屋のアプリをダウンロードし、アカウントを登録した。一人暮らし、ましてや自宅に友人を招いて食事をするような社交的な人間ではないため、この手のサービスを利用したことがなかった。スマートフォンの画面をタップし、アカウントを登録する俺を佐一はじっと眺めている。手間取るわけにはいかない。その妙なプレッシャーに苛立つ。なぜ俺が見知らぬガキのためにこんなことを…。

だが佐一から手渡された手紙を読むと、見知らぬガキでは済まされないことは確かだった。

左上に少し傾いた筆跡は、紛れもなく自分のものだと納得せざるを得ない。俺はそこで絶望しかけた。この佐一と名乗る少年の悪戯であればいいと願っていた、現代では完全にありえない、時間逆行。そんなめんどうな事案に巻き込まれてしまった。たかだか大学生の自分に、いったい十年後の俺は何を期待しているというんだ。十年後の自分を恨みがましく思う。それこそがすでに理解不能だというのに。

マルゲリータ、ミートアンドチーズ、シーフード…。どれがいいかと聞こうとして、俺は開きかけた口を閉じた。ピザを食べたことのない人間に、種類を問うことに気が引けた。

ツナやウインナー、チーズ。子供が好きそうなトッピングのピザを選ぶ。このぐらいの年頃の男子が、どれだけの量を食べるのか。自分の少年時代を思い出してみても、遥か遠い過去は靄の中だ。子供時代の思い出どころか、記憶が経年劣化でぼんやりとしか浮かばない。というものではない。薄めて、薄めて、濃度が限りなく透明になるよう努めたのだ。こびりついた頑固な汚れを、無我夢中で擦り落とすように。囚われてしまわぬよう。可能な限り子供時代の記憶を頭の中から追いやっていた。

思い出そうにも、すでにそれは俺の中でシュレッダーにかけられた紙屑だ。自分の心を負の方向へともたらす記憶は、すぐにそうやって再生不可能な状態にまで細かく切り刻んだ。そうでなければ前へ進めないと思った。未来に足を向けるためには、過去に捕らわれるわけにはいかなかった。俺にとって過去は、止まらない時間の流れのレールから引きずり降ろすための、忌まわしきものでしかなかった。人生は不可逆的なベルトコンベヤーのようなもので、無抵抗でその流れに身を任せられることが、もっとも生きやすい選択だと。

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