出だしだけ。すぎもとの低年齢化。だがショタ要素はない。
つまりカプ要素皆無だ。
最近私は腐女子なのか?と何を今更な疑問で首がもたげるくらいに、別になんつうか、甘い恋人こいびとしてる関係、別にいいかなーって気持ちになってる。今までもそんなに恋愛要素強めな話は書いてこなかったけど。BLってより、オガタとスギモト二人がなんかしてる。たぶんオリジナルを書きたいけど、キャラ作るのめんどくさいからこの二人に毎回動いてもらってる、腐女子じゃなくてもおもしろいって思ってもらえる作品が書きたいのかもしれない。
つうことで、とんでも設定なosgです。
画像はラムダリリスの例のパーカーを着た、ラムダオガタ。似合わね~。
『時をかける佐一(仮)』
幼い頃の自分を重ねて、哀れに思ったのかもしれない。
玄関のドアを開け、目の前に立っていた少年を尾形は見下ろした。同じマンションに住む子供が、部屋を間違えてインターフォンを押してしまったのか。しかしここは単身用のマンション。子供連れの家族が住むには手狭だ。それに、そういったマンションでの子供の姿は、他人に無関心な尾形でもさすがに目を惹く。それなのに、尾形の目の前にいる少年には、まるで見覚えがない。新しく越してきたのだろうか。
尾形は開いたドアのノブを握りしめたまま、少年に視線を落とし考えをめぐらせた。だがいくら考えても、尾形の記憶にこの少年の姿はない。相手が大人なら、あからさまに顔をしかめ、追い返しただろう。尾形は子供相手にどういった対応が正解なのかわからず、無表情で口を開こうとした。せめて少しでも声色を明るめにしようと、唾を飲み込み喉を潤す。
しかし少年は、尾形が目を見開くほどの言葉を口にした。
「尾形、尾形百之助で合ってるよな」
どうしてこの少年は自分の名前を知っているんだ。尾形の部屋には表札もない。背格好からいって、小学校中学年あたりに見える少年の目は、いたずらでもからかいでもない視線を尾形に突き刺している。
「俺は、尾形佐一。二十年後の未来からきた。あんたの子供だ」
尾形は口のたつ方だった。誰かに何か、自分の中で納得できない発言をされると、畳みかけるように相手を論破した。その尾形が、今は閉口することすら忘れ、言い返す言葉も持たず、少年に間抜け面を晒している。
冗談にしてはタチが悪すぎる。それにこの佐一と名乗った少年が、尾形の名前と所在を突き止めていることが、冗談でもなんでもない証拠だ。
「は?」
さっき潤したはずの喉が、からからに乾いていた。それ以上、言葉が続かない。声も出せずに尾形は三和土を一歩あとずさった。
「正確には、二十年後のあんたは本当の父親じゃない。俺は養子なんだ」
そう言って佐一は、背負っていたリュックを肩から下ろし、中から一通の手紙を取り出した。それを唖然としたままの尾形に突きつける。
「これ、父さんから。動画でメッセージを伝えようとしたんだけど、二十年前の機械じゃ再生できないからって。俺、手紙なんて物語の中でしか見たことなかったけど、なんかこういうのも、いいな」
少年、佐一は顔の端から端を渡る大きな傷を歪めて笑った。真一文字に牙の生えたような傷が頬と一緒に笑う。生え揃いはじめた大人の歯が一列にきちんと並んでいるのが見えた。
尾形は押し付けられた手紙を反射的に受け取った。真っ白で味気ない封筒。中には履歴書でも入っているかのような、宛名も何も書かれていない封筒が、二十年の時を超えて尾形の手の中にある。「それ、探すの苦労したんだぜ」と、佐一は目を細めて少し得意げな顔を見せる。尾形は、ああ、と生半可な返事をして「それ」を指すものが封筒と便箋のことだと遅れて気づく。
二十年後の未来の自分が、この少年を養子として引き取るとは尾形は自分のことながら信じられなかった。なんせ子供が苦手な尾形が、人の親になるとは想像もつかないからだ。目の前に子供が現れても、なんの感情も抱かずに、ただ訝しんで見下ろすばかりだ。気の利いた言葉で相手をしてやろうとすら思えない。
現に今、この佐一と名乗る少年は、初対面にも関わらずタメ口で馴れ馴れしいともとれる態度で接しているのも、尾形は気に食わなかった。尾形からすると、子供は自分が無条件で大人に受け入れられると信じて疑わぬ無遠慮な生き物だと捉えている。
子供をそんなふうに認識している自分が、見ず知らずの子供を引き取るとは、いったい二十年後に何があったのか。そして佐一の言っていることが本当ならば、なぜ少年だけを二十年前の過去へ寄越したのか。
自分の行動ながら、尾形はまったく理解ができなかった。
「おまえの父親、未来の俺はどうした。一緒じゃないのか」
尾形は干からびた喉からようやく声を絞り出した。
「来られるわけねーじゃん。未来の父さんと、今の父さんが出会っちまったら、時間…なんだっけかな。えーと、その、とにかく、同じ時間軸に同じ人間がいるのはまずいんだよ」
佐一の言っていることを尾形はなんとなく理解した。SFなどで見られる、現在と未来、別の時間軸に存在している同一人物が顔を合わせてしまうと、よからぬことが起きる。そのよからぬことがなんなのか、はっきりとしたことはわからないが、ぼんやりと良くないことだとはわかる。
「とにかく、その手紙を読んでくれよ。俺には父さんが言ってたことは難しくてよくわかんねーからさ。でもまずいんだよ。俺がここにこなきゃ、未来がやばいんだ」
まずいだのやばいだの、抽象的な言葉で納得させようとしている態度に、尾形は少し苛立った。だが確かに、佐一の言っていることが本当かどうかを確かめるには、この手紙を読むほかなかった。手書きなら、筆跡で自分のものかどうかを確認できる。パソコンで作ったものでも、内容によっては佐一のいたずらかどうかくらいの判断材料にはなるだろう。
尾形は未来から来た自分の養子。などという信じ難い言葉が、どうか嘘であってほしいと願いながら封を切った。自分が親になるなど、そんな不幸なことが、あってなるものかと、ていねいにちぎった封筒から便箋を取り出した。
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