これまで書いてきた話は全体としてはフィクションなんだが、要所要所で実際にあった出来事や、仕組みなどは出てくる。つまり実際の事例を織り交ぜながら書いているわけだが、さすがに国名や地域名はぼかしたほうがいいなと痛感した話がある。
すでに本は完売し、それがあるので再販もしないつもりだ。大勢の人の目に触れる一般書籍ではないのでまだセーフだったかもしれないし、そこまで大事になることでもないかもしれない。
でもたまたま目にしたニュースで肝を冷やした。
まさかこの令和の時代にそんなことはないだろ。とタカをくくっていた。実際、過去にそういう事例があったという話は聞いたことがあるし、都市伝説だと一蹴するには真実に近い。
まあ密入国だスパイだだの書いた話なんだが、スパイに仕立て上げたかどうかは不明だが、本が完売してから数か月後に、某国の船が密入国しようとしていたところを巡視船が見つけたというニュースが流れた。
いや、もう令和だぞ?
たしかに父親から地元でそういう事件があったという話は聞かされていたが、まさかこの時代になってまでそんなことが起きるとは思ってもおらず、実際の国名を出してしまったことにちょっとヒヤリとした。
それぐらいで、と思っていたが、ルポライターの方がその国の記事を書いたところ「しばらくは駅のホームの黄色い線に近づかないほうがいい」と言われたそうな。
要は突き落とされる可能性があるからと。
たしかに人を消すのにドンパチしちゃうよりも、事故に見せかけた方が面倒にはならないし、都会のホームの混雑時ならちょっと誰がやったかを特定するのは難しいだろう。
この話に真実味をもたせたのが「新〇スワン」で、実写映画版だとヒデヨシが殺されるのは銃で撃たれたからなんだけど、漫画だと駅のホームから突き落とされてるのね。たしかに映画だとヒデヨシが殺される場面はクライマックスだし銃で撃たれて死んだ方が、言い方は悪いけど見栄えがいい。それにスワンの作者はかなり取材をしてあの漫画を描いたとも聞いたので、漫画でもやっぱり見栄えを重視するシーンであえて地味な方法を描いたのだとしたら、ホームの列車付近は危険なんだなと改めて思い知らされた。
ということで、ネットに掲載するにしても小数部を本にしたとしても、実際の国名を出すと危ないなと思ったのでした。
その分、人の思想や社会構成などはリアルに書きたいし、私は文章で社会を殴りたいんだ。
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