人を殺して罪悪感を抱かない心理について
- すけきよ
- 2019年10月30日
- 読了時間: 4分
また尾形の心理を紐解いていこうという、無謀な回です。
尾形の名台詞?のひとつ「人を殺して罪悪感を抱くやつはいない」
勇作さんに言った台詞ですが、次にアシリパに対して銃を向けたとき、尾形は「殺す道理をやろうか」と言います。
ここで私は、尾形にとって人を殺すことに道理さえあれば、殺すに値するきちんとした理由があれば、罪悪感など抱くわけがない。という意味なのかと思いました。
で、なぜ尾形はこんな考え方をするのかというと、最適格の選択をする際、より合理的な選択をするときに、人は倫理を削ぎ落とすからです。
医者に向いている人はサイコパスが多いという話があるんですが、それは手術の際に患者の未来を思って判断を迷うことがないからだと言います。
「ここを切っちゃったらこの人のこれからの生活に支障がでちゃうかな」などという、情を一切抱かずに、病気や怪我の治療に、一番的確な判断だけを選ぶからです。メスを手にしたとき、迷いなく判断ができるからだと言います。
つまり、有限的な選択。この場においてもっとも成功率が高い選択をするとき、感情がそこに混じると判断をくだせなくなるんです。
尾形の母親が幸次郎に会いたいと毎日あんこう鍋を作っていたとき。
きっと普通の人なら尾形母に「幸次郎さんはいつか会いに来てくれるよ」などの、確証もない励ましや、「手紙でも書いてみたら?」などの、成功率が低い(会いに来てくれるどころか読んでもらえるかすら怪しい)曖昧な言葉をかけるしかできないと思います。
けど尾形のような人間は、「現状でもっとも幸次郎が会いに来てくれる可能性が高い」選択をします。
冷たい言い方をすると、やくたいのない励まし文句には、なんの解決策も含まれていないんです。
もし友達に「彼が浮気をしているかもしれない」と相談されたら、「そんなことはないよ」だの「彼と話し合ってみなよ」という、おざなりな言葉をかけるしかできない。それはどうしてか。友達を傷つけないためです。
はっきりと、浮気の是非について解決策を提示すると「興信所に相談してみなよ」とか、疑わしいと思うに至った彼の言動を詳しく聞いた上で、それは浮気かどうかの結論を言い渡します。
すると友達は傷つくでしょう。友達は「彼は浮気なんかしていないよ」という安心感を得たいがために、相談しているのだから。
そういった「情」を限りなく削ぎ落として、人の感情から生まれた問題点(会いたい、○○したい、など、ぼんやりとしたもの)を言語化し、解決するための最も確率の高いルートを導き出す。
おそらく尾形にとって、人間の行動から起きる事象は、すべて形あるものに見えているのではないかと。
ざっくり言うと、積み木のように。
人間の感情というのは、はっきりと形づくられるものではない。ぼんやりとしてはっきりしないもの。だから迷ったり悩んだりするんですが、尾形にはそこらへんが、可視化されているんでしょう。
だから人を殺すことは、殺す理由があっての事象であり、お腹がすいたからごはんを食べるのと同じぐらいに思っているのでは?と思いました。
眠いから寝る、お腹がすいたからごはんを食べる。理由があるから成立するし、それについて罪悪感を抱く人はいないでしょう。
だから尾形は不思議に思うのです。殺す理由があったから殺した。そこになぜ罪悪感を抱くのか。
ここで尾形はさらに逸脱します。分岐です。
みんなと違う自分に疎外感を抱いて落ち込みません。
自分と違う考えはおかしい!きっとアシリパにも勇作にも、俺と同じ部分があるはずだ!と、誘導しようとします。
そこが尾形が「普通の人」(あんまりこの言い方は好きじゃないんですが)と違うところだと思います。
尾形には見えている世界が違うんだと思います。
言ってしまえば、超合理的。目的のためなら手段を選ばないタイプです。
「これをやったらこの人悲しむかな」などの感情は一切持ち込まず、目的のための最適格のためなら他人の感情をガン無視します。
杉元のことも平気で撃ちますし、誰かを騙すことにまったくためらいがないのも、目的達成のための最適格がそれだった。ただそれだけなんです。
一見してとてもシンプルな思考、機械的な思考とも思えます。
・・・って、今思いついたまま打ち込んでるから文面がめちゃくちゃだけど、こういうのをまとめて本にしたいよ。誰が買うんだよ。私だよ。
最近ありがたいことに、休みの度に発送作業をしてます。
自分でもよくこんな落としどころに持っていったなと思うくらい、凝った?ストーリーになっているので、よかったら読んでみてください。HPのトップに通販ページに飛ぶボタンがありますので。
次回新作はSFです。
SF小説を読んだこともなければ、スターウォーズも小学生の時に観た程度です。
果たしてどうなるんでしょうね。間に合うのかな。もう11月になるよ・・・。
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