だいぶ前に金塊の暗号は星座の座標じゃないかなんて鼻息荒く予測していたが(おおかみ座の座標を経緯度にするとちょうど北海道の東側の湖の上だったのもあって)まったく違った。めちゃくちゃ恥ずかしい。
だがそれよりも五稜郭で忘れていた怒りが再燃した。
小学校の修学旅行で私たちは函館を訪れていた。
函館といえばもちろん五稜郭は外せないスポットだ。
たしか修学旅行の二日目だったと思う。その日は午前中に五稜郭を見学し、午後にトラピスチヌ修道院を回る予定だった。そして午後には自由時間が設けられていて、買い物が許されていた。
しかし私は午前中に訪れた五稜郭であるものを見つけてしまったのだ。
夕張メロンキャラメル
当時、小学生の私には地元ではお目にかかれない、だが長期休暇でクラスの誰かが旅行のお土産で配られたことで知っていた、あの、夕張メロンキャラメルが五稜郭内の売店に陳列されていたのだ。
北海道のお土産といえば、バター飴、トラピスチヌクッキー、白い恋人が定番だったが、そこに新たに北海道のお土産としてメジャー入りしそうな予感を孕んだルーキーが夕張メロンキャラメルだった。ような気がする。
それをだ、それがエレベーターで展望台フロアに到着するや否や私の目の前に現れたのだ。
そして私は小学六年生。十二歳だ。そんな物珍しくトレンディなものを前にして、素通りするという理性があるわけもない。だってまだ生まれて十二年しか経っていないんだから。この前までへその緒がついてたようなもんだろ十二歳なんて(私に至ってはの話です)
ああ買ったさ。夕張メロンキャラメルを。同じ班の男も買ってたよ。そんなもんだよ十二歳ってのは。あくまで五稜郭は学習のための見学として出向いた場所であって、買い物は禁止されていたとしても、だ。買わないという選択は私にも彼にもまったくなかった。
その後それが先生にバレて、午後の買い物を禁止されたことを思い出したのだ。
そして大人になったはずの今でもそれが納得できなかった。
だって買うでしょ、そんなん。私らはたまたま夕張メロンキャラメルを見つけてしまったから買っただけで、ほかの生徒だって夕張メロンキャラメルを見つけてたら買ってただろ。ポケゴでリザードン出てきたらモンスターボール投げるだろ。
という、再燃した理不尽な扱いに対する怒りを、小学校からの友達にしたところ(彼女は別の班だった)どうやら今YouTubeで廃村などで人がいなくなった市町村を散策するチャンネルがあるそうで、その中には破綻した夕張市に行った動画もあったそうだ。
そして彼女いわく、破綻した今の夕張市はまさにゴーストタウンなのだそうだ。
私は、ゆうてももともと市だったわけだし破綻したといっても細々と市民が暮らしているものだと思っていた。
だが投稿者が夕張市を歩くと、人が歩いているどころか、投稿者を見つけるなりぴしゃりと窓を閉める元市民の姿、まさに雛見沢、いやそれよりも閑散としていた。
もしあの時、先生の計らいで学年全員が夕張メロンキャラメルを買っていたら破綻などしなかったのではないだろうか。などと強引かつ過激に自分の行いを正当化してみたりした。
だがこれを書いている今も、やっぱりあの時、夕張メロンキャラメルを買った自分は正しかったと思っているし、怒られたことにも納得がいっていない。そして夕張市がそんな有様ということは、もう二度と夕張メロンキャラメルが食べられないということなのか?だって夕張市で採れたメロンでできているから夕張メロンキャラメルなわけであって・・・。
ググったらふつうにでできたわ。
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