花背負っても不穏。
私の中では杉尾でも尾杉でも真っ昼間に手を繋いでほのぼの花見をする2人がまーったく想像できなくて。
なんかの帰り道に通りすがった公園で、散りかけの桜が目に入った杉元が「そういえば花見してねぇな」って、興味のない尾形を言いくるめてコンビニ行ってストゼロ数本とあたりめとかのつまみを買い込んで、公園のベンチで花見の真似事をしてるくらいがちょうどいい。
杉元が「あー、花全然見えねーなー」って上を見上げてるのに対して、尾形が「元々花なんて見ねぇだろ」って返す。
でも足元に視線を落としたら、桜の絨毯が広がってて、こいつと一緒になるまで季節なんて暑いか寒いかでしかなかったなって思いながらも、絶対口にはしたくないから缶チューハイを流し込む。
「来年はちゃんと花見行こうな」って言う杉元に、来年も一緒にいることを約束されて、なんだか想像がつかないけどきっと来年の春もこうして公園のベンチでコンビニの酒を煽っているんだろうなと少しだけ笑った。もっと危うい糸で繋がっている関係だと思っていた尾形に未来を見せてくれた。
ああ、この桜の木は来年も花を咲かせるんだ。季節は巡ってまたおとずれる。
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